リレーエッセイNo.2 「子ども健康科学会と旧名称 井上徳浩先生」

日本子ども健康科学会事務局でございます。

日々寒さ厳しくなってまいりましたが、学会員の皆様におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。

平素より当学会活動にご支援を賜り誠にありがとうございます。

リレーエッセイ第2回目は大阪南医療センターの井上徳浩先生です。

学会の活動内容とは全く関係なく、私の会員番号は若いです。これは入会が早かっただけにすぎませんが、その当時は「子どもの心・体と環境を考える会」という名称であって、現在もこの学会の副題のようについています。お気づきでしょうか。

この会の名称も、旧名称も、学会名を見て大まかにどんな会なのかわかるという人は少ないように思います。私が、あまり内容もわからずに初めて参加した時には、自分にとってはとてもタイムリーで、当時の受け持ち患児には生活環境から身体症状をきたすような子もいれば、心の持ちようから身体症状につながる子もいて、どう絡んでいるかを説明できなかったです。そして、明らかに両方を併せ持つ子については治療の手法に悩んでいた時だったので、学会で聴講した内容は当時とても役に立ったのを覚えています。一定の理論と手法によって解決にもっていくことができる先生方の話を参考にして、症状の動いた子供たちをみて、納得した自分がいました。当時はとても衝撃的でありましたが、もちろんそれをすぐさま自分のものにできるのかは、また別のことでもありました。

現在の会の名称「子ども健康科学会」を初めて見ただけでは、どんなことを扱っているのか想像したり、あるいは細かな内容を分かっていただくことなどということは難しいかもしれません。しかしながら、単に何か薬ではなく、別のアプローチを必要としたときに役立つかもしれませんし、その必要はなく日々過ごされる人にも“いつか”参考になることもあるような内容の会です。藁をもすがる思いのときに、そうした手法を持つ他職種の人にはなかなか会えるものでもなく、そうした方の考えに触れることは、通常なら極端に少ないものです。この学会はそれをかなえてくれる数少ない場であると思うので、そんな「いつか」のために、今からでも少し覗いておいてもらえるといいなと思います。

私はこの学会に所属、勉強させてもらいながら、科学が人のために役に立つということは、その間に人間の力が介在しないと繋がっていかないということを感じています。子供たちの幸せに「自分に何ができるか」ということを考え、学会が何を与えてくれて、自分には何ができるかなのだと思います。学会という名は固苦しく思うかもしれませんが、そこは自分のスキルを上げるために、そして学会というからには学術ということを念頭に置きながら、皆さんの道標になれる存在であるだろうし、そうありたい、あってほしいと願うばかりです。

ぜひとも本会の魅力を感じられるように、本学会の年次集会などにご参加いただけたらと思います。

大阪南医療センター 小児科 井上徳浩

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