リレーエッセイNo.7 「子供たちの調査の難しさ:エコチル調査から 中山健夫先生」

日本子ども健康科学会事務局でございます。平素より当学会にご高配賜りありがとうございます。

リレーエッセイ第7回目は、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野 教授 中山 健夫先生です。

私は、本学会の皆さまと同じく、子どもたちが健やかで幸せに成長できる社会の実現を目指して、医師で疫学者としていくつかの取り組みに携わってきました。2011年から環境省が進める「エコチル調査」でも、子どもを対象とする調査の難しさを実感しています。この調査は世界的にも有数の大規模調査ですが、参加同意は子どもからではなく(お母さんのお腹の中なので当然ですが)、親の代諾です。昨年、追跡年齢が13歳から18歳に延長され、参加継続の再同意も親の代諾によりますが、親子関係や意向の不一致への対応など潜在的な課題でしょう。また自記式回答の信頼性の評価、思春期における成長の多様性にも慎重な対応も必要です。それでも、子どもたちの声や生活環境を反映した調査を進めることの意義は改めて申すまでもありません。調査としての直接の成果だけでなく、子どもや親との関係で得られた経験からの知見も含めて社会に還元し、子どもたちがそれぞれの可能性を発揮できる未来に向けて、一歩ずつ進んでいきたいと願っています。

京都大学大学院 医学研究科社会健康医学系 専攻健康情報学分野 教授 中山 健夫

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