リレーエッセイNo.13  「就学前教育の未来 原子純先生」

日本子ども健康科学会事務局でございます。平素より当学会にご高配を賜りありがとうございます。

リレーエッセイ第13回目は、久留米大学 准教授 原子 純先生です。

 私は、保育者の経験を活かし、幼稚園教諭や保育士といった、いわゆる保育者を養成する大学で教員をしているなかで、思うことを記します。これは、あくまでも個人的な思いであることを、前もってお断りしておきます。

 日本における就学前教育機関は、幼稚園・保育所・認定こども園と大きく3つの機関が存在します。また、認定こども園といっても幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型と4つの形態(タイプ)があります。さらには、昨今の話題でもある、〔こども誰でも通園制度〕も含めて、様々な制度により子育て支援のもと就学前保育を行っています。

 現在、幼稚園・保育所・認定こども園いずれにおいても3歳以上の教育あるいは保育内容は、これまでよりも一層の整合性をもつようになりました。しかし、こども家庭庁が発足してもなお、積年の課題である就学前教育の一元化には至っていません。前述した認定こども園では、保育者は「保育教諭」と称されていますが、「保育教諭」は幼稚園教諭免許状と保育士登録証を有する者で、「保育教諭」という免許や資格はありません。また、保育所は「幼児教育を行う施設」とされています。

 日本の就学前教育の歴史的背景から、それぞれにおける役割や機能、ニーズ等があり、そうであるからこそ、円滑に行われてきたことも多々あると思います。そのようななかで、私個人としては、現在の幼保連携型認定こども園を単に、こども園として、保育者も「保育教諭」に一元化することを期待しています。なぜなら、保護者理解、特に子育て支援はとても大切であるとともに、こども家庭庁が謳っている「こどもまんなか」の考えを私なりに解釈するならば、子ども達を同じ要件下での就学前教育をすることが望ましいと思うからです。

 日本に、幼稚園や保育施設等が誕生して約150年、日本に幼稚園が誕生した時代には、近年の日本の幼児教育を想像できたでしょうか?その頃は、教育機関で幼児を教育することすら、画期的なことであり、現在の保育所の原点でもある託児施設の発展も然りです。そして、令和からその先へ、、、。

 この目まぐるしく変化する現代社会で、私自身は、この先100年、それ以前に10年後でさえ幼児教育は未知数だと感じます。未知数ということは、可能性を秘めているともいえるでしょう。私たちあるいは私が関わっている学生が保育者として、さらには幼児教育を学んだ大人として、次世代の幼児教育を確実に前進させていくことが、想像を超えた新たな幼児教育を導いていくにもなるでしょう。

 子ども達が、就学前教育における生活や遊びをキラキラした瞳で楽しみ、「また明日ね」と、明日へワクワクする気持ちをもてること、その経験こそ大切だと感じています。

 これからの日本の就学前教育に希望をもちながら、その未来が輝かしいものであることを願います。 

久留米大学 准教授 原子 純

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